第158章 体は大丈夫、心に問題が出た

高野咲子は、いかにも言い出しにくそうな顔で口をつぐんだ。

「用があるなら言って。もったいぶらないで」

長谷川栞がせかす。

自分でも、今日はどうしてこんなに気が短いのか分からない。けれど、直す気にもなれなかった。

「別に大したことじゃないんだけど……今日、たぶん“あの人”を見た気がして。栞さん、ほんとに海外に行ったって、確かなの?」

高野咲子が慎重に切り出す。

「見たって? どこで」

長谷川栞の表情がすっと沈む。

――まさか。中尾美希、本当に出国してない?

高野咲子は一瞬迷ったものの、腹をくくって正直に話した。

「先輩のカウンセリングルーム。私が午前中に会社を抜けたのも、そ...

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